あなたが事業を拡大させていく際必ず必要になってくる活動として「採用」があるかと思います。創業したての企業では、少しでも即戦力になる人材を雇用しがちですがその後、企業文化と合わずに離職、、、
などという事態を経験した経営者も多いのではないでしょうか?
そのような事態が起きうる背景として「実力」と「企業文化に適応するか」の2軸でぶつかる話をよく聞きます。
・実力はあり、事業を伸ばせそうだが 企業文化には合わなそうな人材
・実力はないが、企業文化には かなり適応している人材
・短期的には事業を伸ばしたい
けれども
・中長期的には企業文化に適応する人材を育てたい
トレードオフにも近いこの悩みを日々抱えながら採用活動をしている企業がよく見受けられます。本日はそのような悩みを抱える経営者の方にトニー・シェイという人物を紹介します。
彼はザッポスという企業のCEOで、就任当時から8年で160万ドルだった売り上げを10億ドルまで伸ばした人物です。彼が大規模セミナーで採用について語った時のことです。彼の会社では実力がいかにあろうと自社の企業文化に適していなかったら採用は絶対にしないと断言しました。その企業文化の一例として彼は「顧客サービスはコストではなく投資」という事例を紹介します。
ザッポスは靴の通販事業から始まり、今では様々なジャンルの通販を取り揃えて一気に拡大しました。しかし、彼の会社は通販会社では通常あるはずのものがありません。それこそがザッポスの企業文化を形成しているとも言えるものです。その通常ならあるはずのものとは、、、
「マニュアル」です。
彼の会社では電話応答のためのマニュアルが一切存在しません。その代わりに1点だけ存在するルールがあるのですが、それは「ゴールは顧客との一生のお付き合い」だということ。そこだけをコールセンターの社員の全員が目指し、各々が考える最高の顧客サービスを実施しています。そのため、ザッポスの商品とは全く関係ない相談や話し合いがいたるところで行われています。(時にはピザの配達手配をしたり、、、)
そして、最も驚くべきは、最長通話記録が「5時間57分」だったということそれだけ話しても実際、利益には1円にもならなかったと言います。
ですが、ザッポスではその行為を指摘することなく、逆にその通話でどれだけ顧客が満足してくれたかを徹底的に追及したと言います。そこを徹底的に追及することでザッポスは世界中で愛される企業へと変貌を遂げました。
そして、この企業文化をゼロから作り上げるために、採用したらどのような役職でも全員必ず2週間コールセンターで働かせたり、 トレーニング期間中に退職をしたいと言ったら、それまでのトレーニング代に加えて、ボーナスまで支払っているのです。
短期的に売上をあげるためには、実力を持っている人材を雇いたいと思うのは経営者としての想いですがそれ以上に企業文化に合うかどうか
この点が、世界で成功を収めているベンチャー企業の一つの要件なのです。
あなたの会社では、実力以上に企業文化に適応するかを判断する採用基準を作っていますか?
ぜひ参考にしてみてください。
それでは、また。
*
株式会社ビッグオー代表
執筆者 園田隆之