あなたはロバート・ワイランドという、海洋アーティストをご存知でしょうか?
日本でマリンアートといえば、クリスチャン・ラッセンが有名ですが、世界的にはラッセンと並ぶほど人気があり、マリンアートの第一人者でもあるワイランド。
本日は、世界的な画家として成功し、アメリカでもっとも影響力のある海洋生物保護論者として知られるまでに至った、彼の学生時代にまつわるエピソードを一つ紹介します。
ワイランド17歳。
彼は6年制の美術専門学校に入学することになりました。卒業後、世界に名を馳せる有名画家になることを夢見ながら初日を迎える学生が普通でしょう。しかし、ワイランドは1日目に教師に対してこう宣言したのです。
「全クラスに出て、夜間も土曜日もすべて参加可能な授業には出るので、6年を2年で卒業させてほしい」と。その後、ワイランドは宣言通りキャンパスライフを謳歌するほかの学生には脇目もふらず、全授業に2年間出席し続けました。そして2年後、通常6年かかる工程を3分の1に圧縮し、見事卒業します。
当時の状況をワイランドはこう語ります。
「私の夢は学生ではなく、世に出て成功することだ。そう考えると、1秒でも早く自分の作品を世に出すことが先決だと考えました。」
このエピソードは「学ぶ」ことの本質について、非常に重要なことを私たちに教えてくれます。成人に至るまでの大半の時間を「学校」という空間で過ごしてきた私たちにとって「学ぶ」ということは、心のどこかで「期間が定められてる」と考えがちになります。
そして、学習意欲の高いビジネスマンに、人気があるビジネススクールの大半も、カリキュラムと修了期間が定められています。
しかし、ビジネスの世界は日進月歩。本日通用した内容が明日同じように通用する保証など一切ありません。そしてその変化のスピードは時代が経つごとに日増しに速くなっています。そのようなビジネス環境で勝負をし続ける起業家や経営者にとって
「深い学びをいかに短期間に圧縮できるか」
を常に自問しながら学び続けないと、あっという間に時代に取り残されてしまいます。だからこそ、私たちは受動的に学ぶのではなくワイランドのように主体的に学ぶ姿勢が大事なのです。時には修了期間を圧縮するほどに。
それでは、また。
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株式会社ビッグオー代表
執筆者 園田隆之